教育資金や結婚・子育て資金の非課税贈与制度をおさらいしよう–前編

2015/07/12

父母や祖父母からの資金援助が使い道によっては非課税になる制度があるのをご存知でしょうか?

平成27年度の税制改正で、「教育資金の一括贈与の非課税措置」が延長され、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が新設されました。その内容を確認してみましょう。

前編は教育資金についての解説です。

なぜこんな制度ができたの?


そもそも贈与とは、経済的な価値がある財産を人に無償であげることをいいます。たとえ夫婦や親子でも、無償であげると原則として贈与となります。

贈与があると、今回ふれる制度のような特別な制度がないかぎり、1年間でもらった課税財産の合計が110万円を超えると贈与税が発生します。贈与税は、同じく財産を得たときにかかる所得税や相続税と比べて、税額が高い傾向にあります。

【贈与税の税率】

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※「課税価額」とは、課税財産の合計から110万円を差し引いた金額です。
※「直系尊属」とは父母や祖父母などのことをいいます。

贈与税の税額が高いと、親や祖父母が子ども・孫のためにお金を出してあげたくても、「高い税金を払ってまでは…」となりがちです。そこで、一定の金額までは贈与税を課税せず、親・祖父母の世代から若い世代にお金がわたるように、この2つの制度が創られました。

それでは、具体的に制度の内容をみていきましょう。

教育資金の一括贈与の非課税措置


この制度は、30才未満の人が、教育資金として父母や祖父母などから贈与を受けたときに、最大1,500万円までは非課税となる制度です。当初は平成27年末までの制度でしたが、平成31年3月31日まで延長されました。

この制度を使うときは、次の点に注意しましょう。

■金融機関をよく選ぶ
⇒教育資金口座は1人1口座のみ、途中変更は不可

贈与された資産は、銀行などの金融機関に教育資金口座を開いて管理します。教育資金口座は1人1口座しか持てず、途中で変更することもできません。どの金融機関を利用するか、慎重に選びましょう。なお、後述のように、資金の引き出しには金融機関に領収書などを提出する必要がありますので、贈与を受ける側の利用しやすいところを選ぶことをおススメします。

■「教育費」の範囲
⇒交通費もOK

贈与された資産は、「教育費」として学校などに直接支払う費用にあてる必要があります。この「教育費」には、次のようなものがあります。今回の改正で、交通費が追加されました。

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なお、「学校」とは、次のものをいいます。

  • 学校教育法上の幼稚園、小・中学校・高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、大学、大学院、専修学校、各種学校
  • 外国の教育施設
  • 認定こども園または保育所など

自動車学校や卒業パーティーの費用など、ケースによっては対象になるものも多くあります。子どもにかかる費用があれば、その都度、対象にならないか調べてみるとよいでしょう。ただし、学校以外に支払う費用は500万円までとなっています。

■領収書などを保管する
⇒明細でOKな場合も

実際に教育費を支払ったときは、領収書を金融機関に提出し、金融機関からその金額を受取ります。教育費を支出したら、必ず領収書を保管しておきましょう。ただ、今回の改正で、平成28年1月1日以降は、1回1万円以下で、かつ、年間の合計支払金額が24万円までのものは、領収書に代えて支払先や金額などがわかる明細を提出すればよくなりました。

■30才までに使いきる
⇒残金は贈与税の対象に

贈与を受けた人(受贈者)が30才になった年までに残金があると、その年に残金の贈与を受けたとみなされ、贈与税の対象となります。いったん金融機関に資産を預けてしまうと、やはり贈与を止めたなどといって贈与した人が引き出すこともできませんので、実際に使うであろう金額を贈与してもらうようにしましょう。

後編は結婚・子育て資金に関する贈与税についてです。