江戸時代、新宿御苑周辺で栽培された「内藤とうがらし」の復活物語

2015/10/26

江戸時代には現在の東京都心でも野菜がたくさん栽培されていました。たとえば、早稲田ミョウガ、雑司ヶ谷ナスなど、今では畑があったことすら感じさせないような場所で、その土地の気候や風土に合わせて育まれてきました。そのひとつ「内藤とうがらし」は、現在の新宿から大久保方面にかけて盛んに栽培されていた伝統野菜です。そんな「内藤とうがらし」がいま、“新宿名物”として再び脚光を浴びつつあります。

1590年に徳川家康が江戸城に入った際に警護した家臣、内藤清成の下屋敷となったのが、現在の新宿御苑です。ここでカボチャなどと一緒に栽培されたのが「内藤とうがらし」だったといいます。その後、下屋敷の一部は返還され、甲州街道の宿場「内藤新宿」が整備されました。8代将軍吉宗の時代には野菜作りが奨励され、「内藤とうがらし」は江戸中で親しまれ、付近でも盛んに作られていました。
内藤とうがらし本表紙

当時の幕府史料などには「新宿から大久保にかけて畑が一面真っ赤に染まるようだった」と記される程でしたが、人口増加とともに畑は商業地や住宅地に。辛味の強い鷹の爪が主流となり、「内藤とうがらし」は廃れたのだそうです。

現在は、「内藤とうがらし」を新宿名物としの普及を目指して活動している、地域の方や企業よる“情熱的”な取り組みによって、様々なフェアや商品開発などが行われています。

2015年10月に発売された出版物「情熱の! 新宿内藤とうがらし ~新宿名物誕生物語~ (JG mook)」では、関係者のエピソード、栽培方法、「内藤とうがらし」を使ったレシピまで、江戸の歴史と文化を美味を味わえる記事がもりだくさんです。

 

「内藤とうがらし」は、唐辛子としては中程度の辛さで、刺激味の少ないやさしい辛さが特長。自分で栽培すれば、生の若々しい青とうがらしも楽しめます。「内藤とうがらし」を味わえる商品もたくさんあるので、もし見かけたらぜひ食してみてください。
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新宿御苑では、定期的に江戸野菜市場が開催。こちらで内藤とうがらし加工食品を買うことができます。

子どもに合わせた食事だと、辛味やクセのあるメニューは避けてしまいがちですよね。今後新宿で「内藤とうがらし」の栽培風景が気軽に見られる未来を思い描きながら、大人だけピリリとした辛味を堪能する時間も持ちたいものです。



情熱の! 新宿内藤とうがらし ~新宿名物誕生物語~ (JG mook)
成田 重行 (著), 新宿~御苑~四谷タウン誌「JG」編集部 (編集)
本体:1200円(税別)
発行:株式会社H14