スウェーデン社会では働く女性の育児と家庭の両立が保証される

2014/12/27

北欧キッズアウトドアウェア「イスビョン」創業者のMY LIFE(前編)

 


国土の50%以上が森林で9万以上の湖が点在する北欧諸島の国、スウェーデン。そんな自然豊かな国に、初めてのベビー・キッズ専門のアウトドアファッションブランド「イスビョン」が誕生したのは、2005年のことでした。創業者のマリア・フライクマンさんは3児の母。3人のお子さんがいる生活で、どのようにして実業家として成功をおさめているのでしょうか。スウェーデンの社会のなかで女性が働くということや、マリアさんの仕事と家庭の両立のヒントなどを伺いました。

 

 アメリカ系企業での長時間勤務から起業へ


 

ーー子ども向けアウドドアファッションブランド「イスビョン」の立ち上げの経緯について、教えてください。

2001年に、第一子の長男、ビクターを出産しました。産後の女性たちが集まって、お茶をしながらおしゃべりをする「母の会」で、後にビジネスパートナーとなるデザイナーのカミラと出会ったことが、なによりのきっかけでした。
スウェーデンでは、これまで子どもに特化したアウトドアウェアがありませんでした。子どもの服といえば、コットンばかり。そこで、カミラと一緒にフリース素材で自分の子どもの服を縫ったのです。
これが私たちのビジネスのアイデアとなりましたが、当時、私はアメリカ系のコンサルティング会社に勤務していましたし、カミラも仕事を持っていました。ですが、2年後の2003年にふたりとも第二子を持ち、そこで再び1年間の育児休暇がありました。その期間にビジネスプランを作り、お互いに職をやめて起業することを決意しました。

ーーもともとは企業にお勤めでいらしたのですね。子どものいる女性が企業の中で働くということに苦労はありましたか?

スウェーデンという国でスウェーデン人として働いてはいましたが、勤務していたのはアメリカ系の企業。文化の違い、特に、アメリカ系企業の特徴とも言える、長時間勤務・成果主義といった方針に苦労しました。

ーー子どもがいると、現実的に長時間勤務はできないですよね。

アメリカ系のコンサル企業は12時間、14時間勤務が当たり前の世界。子どもがいる私は、勤務可能な8時〜17時までの時間で、同じ成果を出すことを求められました。とてつもないスピードと効率で仕事をし、時にはベビーシッターを利用して頑張ってきたのですが、子どもが2人になり、コンサルタントとして仕事と家庭を両立させることが難しくなりました。

アメリカ系とはいえ、企業もスウェーデンにローカライズすべきではあったのですが、スウェーデンの文化に馴染みきることは難しかったようです。

ーー日本でも、出産後に会社員としての仕事と家庭との両立が難しく、自分で事業を立ち上げようと考える女性が増えています。私も、そのひとりではあるのですが、大きな成果を出せている方はほんの一握りです。マリアさんが、「イスビョン」というブランドが事業として成功すると確信したポイントはどこでしたか?

子ども向けのアウトドアウェアを作ることをビジネスにするのか、それとも趣味として続けていくのかを決断しなければならなかったころ、1つのとても大切な出会いがありました。

それは、スウェーデンで1,2を争う大きな小売業者とのミーティングでした。「2つのフラッグシップストアーにイスビョンを置きたい」という申し出をいただき、イスビョンには需要があることを確信しました。この出会いが起業に向けて私たちの背中を押してくれました。

今では、子ども向けのアウトドアブランドは他にもありますが、かつては子ども専用のアウトドアウェアランドというものがスウェーデンには存在しませんでした。起業から10年の間、イスビョンだけがベビーやキッズのためのアウトドアウェアを展開していたということ。これが何よりの強みでした。

イスビョン

 

 

子どもは保育園に入る権利が保証されている


ーースウェーデンは社会保障制度が充実していることで有名ですが、子育て支援制度の中で役に立ったものは何ですか?

マタニティリーブ(育児休暇)です。母親は1人につき1年の育児休暇があり、その間のお給料は100%もらうことが保証されています。3人の子どもを育てても、金銭面で困ることがなかったという点が助かりました。

スウェーデンでは男性が育児休暇取得することも一般的です。私の夫も3〜4カ月の育児休暇を取り、家族としての時間を大切に過ごすことができました。

さらに私の場合は、育児休暇はセカンドキャリアを構築するにあたっても非常に役に立った時間でもありました。

ーー日本では子どもが保育園に入れずに社会復帰を諦めるケースも多数あります。私自身も、子どもが区内の認可保育園に入れず、区外の認証保育園まで路線バスを使って40分ほどかけて通園しています。スウェーデンの保育事情はどのようになっていますか?

スウェーデンでは専業主婦率が2%と低く、両親ともに働かないと片方だけのお給料だけでは暮らしていけないという社会の仕組みになっています。なので、子どもは保育園に入る権利が保証されています。これは、社会の責任、政府の責任としてのシステムです。ですから、保育園に入れなかったから復職できない(会社をやめざるを得ない)という状態には、まず、なりません。

仕事を持っていない女性は、私の友人の中ではたった1人だけ。彼女のご主人がとてもリッチなのですよ!

Exif_JPEG_PICTUREマリア・フライクマン・フォースバックさん
イスビョン(ISBJORN)CEO。2001年スウェーデンの首都ストックホルム郊外の自宅でISBJORNは誕生する。当時、世界有数の経営コンサルティング会社でマネージメントコンサルタントとしてのキャリアを積む。長男を出産した後も、仕事に復帰し家事・育児との両立をしていましたが、休暇も取れない状況に嫌気がさしたある日、フリースのジャンプスーツを手作りする。この頃、アウトドアが盛んなスウェーデンでさえ子供服と言えばコットン素材の物しかなかったが、斬新なアイテムを世の中に送り出す。現在のデザイナーCamilla Schmidt(カミラ・シュミット)と出会い、2005年、ISBJORNのビジネスがスタート。3人の子どもを育てならが毎日仕事、家庭、育児と奮闘するスーパーウーマン。インタビューで非常に気さくに話し、家族思いの顔を見せる素敵な女性です。

スウェーデンでは第一子出産の平均はだいたい31歳くらい。第一子を出産する年齢はどんどん上がっていきます」……インタビューの続きは後編でお伝えします。