「家ではPCもiPhoneも見ない」スウェーデン女性起業家の働く×家族

2014/12/30

北欧キッズアウトドアウェア「イスビョン」創業者のMY LIFE(後編)

 


第一子出産後に作り始めたフリース素材のベビー服を「イスビョン」としてブランド展開したマリア・フライクマンさん。後編では、マリアさんが強い思いを持つ仕事を集中して行うためのポリシーをお伝えします。

>>前編はこちら
スウェーデン社会では働く女性の育児と家庭の両立が保証される

 

 男性の育児休暇を受け入れる社会と会社


ーー両親共に仕事を持つという生活スタイルが当たり前の社会なのですね。マリアさんが、ご夫婦で協力しあっていることはありますか?

夫と私で家事を分担しています。朝は、上の2人の子は夫が学校に送り、末っ子は私が幼稚園に送り、それぞれ仕事に向かいます。ディナーの準備や後片付け、洗濯などもしっかり分担しています。

ーーすばらしいですね! 私の夫も、休日には出来る限りの家事や育児を手伝ってくれる「イマドキ」の男性ではありますが、会社勤めの彼は、子どもが起きる前に出勤し、子どもが眠ってから帰ってくる生活。平日も完全に50/50で家事分担をするというのは、残念ながらあまり現実的ではないです…。

今でこそ夫婦での分担も当たり前の社会ですが、スウェーデンでも昔からこうだったわけではありませんでした。私の両親の場合、父親は全く家事をしませんでしたし、男性が育児休暇をとるということも考えられませんでした。

10年、15年の時間をかけて、男性も女性も気持ちよく働けて、子育てにも参加できる社会に変わってきています。

ーー日本も「過渡期」と言われてずいぶんたちますが、実際はあまり変化を感じられないというのが現状です。10年後には、日本もスウェーデンのような社会になっていたらいいのに!

時間はかかるかもしれないけれど、変わっていくべきですよね。社会や会社が男性も育児休暇をとれるということを許すような寛大さは必要です。男性にも、子どもを育てる権利はあるのですから! 若い世代の人たちに積極的に変わっていってもらいたいですよね。

 

 スウェーデンの平均出産年齢は31歳


ーー日本では以前より出産年齢が高くなってきています。かく言う私も、仕事にばかり夢中になっていたこともあって初めての出産は32歳でしたし、30代後半に第一子を出産する女性も増えています。スウェーデンの出産年齢の平均はどのくらいですか?

スウェーデンでも、日本と似た状況で、第一子出産の平均年齢はだいたい31歳くらい。子どもを産む前に、もっと旅行をしたり勉強したり、キャリアを積みたいという思いがあると、第一子を出産する年齢はどんどん上がっていきますよね。

ーー日本の共働き家庭では、ベビーシッターや家事代行などのサービスを利用する方もいますが、スウェーデンではどうでしょう?

一般的ではありません。利用するのは上流階級の人たちだけですね。スウェーデンの社会はみんな人間が平等に暮らすという社会で、「自分のことは自分でやりなさい」という風潮があります。そのため、シッターやナニーを頼むのは恥ずかしいことと思われていました。

いまでは「余暇は自分のことに使いたい」という考えもうまれてきていますが、それでもまだ、ナニーやシッターには未だに抵抗感が強いです。

一方で、ハウスクリーニングの利用は社会で受け入れられつつあります。

ーーわたしは、ハウスクリーニングは年に数回、専門の業者に依頼しています。エアコンや換気扇、お風呂など1カ所につき1万円くらいが相場かな?というところです。決して安くはないですが、やはりプロの仕事。手際と仕上がりの良さに、値段相応の価値を感じます。

私もハウスクリーニングは利用しますよ!

スウェーデンでは、ハウスクリーニングは1回6時間で25,000円くらいが一般的です。確かに、ちょっと高いかな?とは思いますが、3人子どもがいるとやっぱり家の中は汚くなってしまうので、良い投資かな、と思っています。

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 仕事は1日8時間、家でPCとiPhoneは見ない


ーー先日、1件だけメールの返信をしようと夕食後にパソコンを開いたら、娘に「ママ、今はお仕事の時間ではありません、パソコンやめてください」と怒られてしまいました。「夜はお互いの顔をしっかり見て、たくさんお話ししようね」という約束を母である私が破ってしまったことを本当に反省しました。マリアさんが、家庭と仕事を両立させるにあったってのポリシーを教えて下さい。

家は、家。家族と一緒に過ごす場所。だから、家では、一切仕事をしません。パソコンはオフィスに置いたまま。iPhoneでもメールを見ることができますが、一切見ません。

家庭は、リラクゼーションの場所。夫や子どもたちと過ごし、しっかり睡眠をとり、家族でスポーツをして体を動かす。

iPhoneはポイ! 家族みんなで外に遊びに行こう!

仕事は1日8時間しかしません。家庭にこういう時間があるからこそ、たった8時間という決して長いとはいえない仕事の時間に高い集中力をもって有意義に取り組み、高い効率を出すことができています。

さらりとアウトドアウェアを着こなし、ビジネスについても家庭についても、丁寧でナチュラルな語り口が印象的なマリアさんが、たった1度だけはっきりとした口調になったのは、インタビューの最後。「私のボスは自分自身。家庭には絶対に仕事は持ち込まないと決めている」というお話でした。

長時間働いてビジネスを動かすのではなく、短時間でも効率的に成果を出すやり方を貫く、という自制の想いを感じました。パソコンやスマホを使っていつでも仕事ができてしまう世の中。家族と自分を守るためには、やりたいことだけではなく、制限すべきこともしっかり見極めるべきだということを改めて認識しました。

また、文中では紹介しきれませんでしたが、マリアさんはお昼休みの1時間にジムへ行って汗を流しているのだそう。「この運動が、午後の仕事に集中するためのエナジーになっているのよ!」と笑顔で語るマリアさんに、切り替えスイッチをしっかり認識していることも、家庭と仕事のバランスを保つ秘訣でもあると教えてもらいました。

スウェーデンの社会や文化から、そして、マリアさんの経験やポリシーから多くの気づきをもらい、背筋が伸びるような思いになったインタビューでした。

>>前編はこちら スウェーデン社会では働く女性の育児と家庭の両立が保証される

ISBJORN [イスビョン] こどものためのアウトドアウェア